古事記の天地創造
物語の始まりは、天の高天原にいたイザナギとイザナミが、天の神々からの命令で国土を生み出すことになったところから始まります。二人は、天の梯子である「天沼縄(あまのぬなわ)」を使って、海の上に降り立ちました。
イザナギは海の底にある様々な岩や泥を見て、「これでは国を生み出せない」と考え、イザナミに相談しました。イザナミは、先ずは神に祈り、その後に神々が与えてくれた杖を使って、海水をかき混ぜることにしました。そこで、杖をかき回すと、泥がかたまり、最初の島が生まれました。これを「奥津島(おくつしま)」と名付けたのです。
二人は、その後に神に再び祈り、また杖を使って、奥津島を囲むように海をかき混ぜました。すると、海底から「垂仁の海山(たるにのあま)」という巨大な柱が立ち上がり、天と海を分けるようにしました。これにより、奥津島をはじめとする多くの島々が生まれ、やがて日本列島が形成されたのです。
イザナギとイザナミは、次に神々に感謝を述べ、島々に神々を祀り始めました。そして、最初の島である奥津島で、男女の神である「国之常立神(くにのとこたてのかみ)」を生み出しました。その後、イザナミは子を産む際に亡くなってしまい、イザナギは深い悲しみに暮れながら、妻を冥界から連れ戻そうとすることになるのでした。
イザナギ・イザナミとは
イザナギは、イザナミという女神と共に国土を生み出すために、天の神々からの命令を受けました。彼は、杖を使って泥や岩をかき混ぜ、海底から島々を生み出すことに成功しました。この功績により、イザナギは日本の国土を創造した神として尊崇されています。
また、イザナギはイザナミとの間に多くの神々を生み出し、日本神話に登場する多くの神々の祖先となっています。
日本の古代神話において、神の名前を隠すために使われたとされる表現方法です。古事記や日本書紀などの古典文献においては、神の名前が濁点をつけて書かれることがあります。この濁点は、「゜」という記号で表され、通常の濁点とは形が異なります。神の名前に濁点がつけられる理由は、神の名前を明かすことが、神格や神秘性を損ねる可能性があるためだとされています。
神の名前が濁点で隠されていても、その神が誰であるかは古代の日本人にとっては明らかであったとされています。
イザナギとイザナミの最初の子
イザナギとイザナミの最初の子は、男女の神である「国之常立神(くにのとこたてのかみ)」です。この神は、奥津島(おくつしま)で生まれた最初の神であり、日本列島の神々の祖先とされています。
国之常立神は、その名の通り、国を守り支える力を持つ神とされています。また、後に天照大神や須佐之男命(すさのおのみこと)など、多くの神々が生まれるきっかけとなった重要な存在でもあります。
冥界に行ったイザナミを追うイザナギ
イザナミが冥界に行った後、イザナギは彼女に会いに行くことになります。
イザナギは冥界に向かいイザナミと再会します。イザナギは、彼女に請われて、彼女を冥界から連れ出そうとしますが、イザナミは冥界の食べ物を食べたため、冥界に留まらなければならないと言います。
イザナミは、イザナギが冥界で彼女を見た姿を見られたことを恥じ、イザナギを追いかけます。イザナミに追われたイザナギは、慌てて冥界の入り口まで逃げます。
イザナミは、イザナギが逃げるのを見て、怒りを爆発させ、自分の手下たちにイザナギを追いかけさせます。イザナギは、手下たちから逃げるために、冠や帯などをはいで投げ捨てていきます。手下たちは、それぞれのものが破壊されたときに現れた神々として知られる存在になりました。
イザナミの手下たちをかわしながら、イザナギは冥界の入り口にたどり着き、石を使って入り口を塞ぎます。イザナミは、イザナギに説得されることなく、冥界に残ります。イザナギは、冥界から戻るために出雲国の河で身体を洗い身を清めました。すると、彼の身体から、さらに多くの神々が生まれました。
イザナギの体から生まれた神
イザナギが冥界から戻った後、身を清めるために出雲国の河で身体を洗いました。その時、イザナギの体からは、多くの神々が生まれたとされています。
その時に生まれた重要な神が
天照大神(あまてらすおおみかみ):日本神話の中でも最も有名な神で、太陽神として崇められています。彼女はイザナギの左眼から生まれたとされています。
月読命(つくよみのみこと):月を司る神であり、イザナギの右眼から生まれたとされています。須佐之男命(すさのおのみこと):海の神で、イザナギの鼻から生まれたとされています。
の3神です。
イザナギが洗った河の水が落ちたところには、イザナミの冥界で生まれた邪神が現れ、彼らは非常に邪悪な存在となりました。イザナギは、邪神たちを倒すために、神々を率いて戦いを挑みました。
最初に倒された邪神は、イザナギの髪の毛から生まれたアシヒ・ノ・カグツチです。アシヒ・ノ・カグツチは、火をつかさどる神であり、戦いでイザナギに敗れた後、火山や火山灰などの自然現象として表れるようになりました。
その後、イザナギは、別の邪神たちと戦い続けました。戦いの中で、イザナギは自分の手で殺した妻であるイザナミを思い出し、悲しみに暮れます。しかし、イザナミは彼に会いたいと思っていたことが分かり、イザナミはイザナギに向かって話しかけることができました。
イザナミは、自分が死んだ後、冥界で腐敗した体を見せたくないという理由で、イザナギに彼女を追うことを禁じました。イザナミは、イザナギに、もう自分を見ないでほしいと言い、イザナギはそれを約束しました。これが、イザナミとイザナギの物語の終わりとなります。
イザナギとイザナミの物語を考察してみる
イザナギとイザナミ物語は、日本の伝統的な家族観や生命観を反映しており、男女の役割や結婚、子育て、生と死といったテーマが現代にも引き継がれています。
また、この物語は、日本の国土形成という歴史的な出来事とも関係しており、日本人のアイデンティティ形成にも影響を与えていると考えられます。
また、海水を杖をかき回すと、泥がかたまり、最初の島が生まれたというような書かれ方をしてるのは、人間が自然と調和して生きることの重要性を表しているとも考えられます。海水(泥)をかき回すことで、自然が変化し、新しいものが生まれるということは、自然と人間がつながっていることを示しています。
この物語から、人間が自然を破壊せずに、調和的に共存することが望ましいという教えが伝わっているとも言えます。
海水を杖でかき回すことで最初の島が生まれたという古事記の物語は、自然、人間、神々が共存し、調和的に生きることの重要性を表現していると考えられます。